A-10 妊娠中の恥骨痛

質問10
 第2子妊娠中の方で恥骨痛を訴える方が時々います。病院勤務時は整体が出来ないので何かアドバイスをして差し上げる事はありますか? もし整体を出来るとしたらやってはいけない週数とかどんなタイミングで、どのような事が出来ますか?(東京 Tさん、st1修了段階)

 

回答10
第二子妊娠中で恥骨痛ですか。

二つほど思い当たりますね。


一つはオキシトシンが少し早めに出て、恥骨離開の準備を行なってしまって痛みが出ているケース。

 

もう一つは殿部筋や内転筋群に負担がかかり、恥骨の痛みの様に感じてしまうケース。

 

前者ならば、自分で足を揉み(子宮、卵巣)、ケアーすることが可能ですが、後者ならば、セルフケアーは出来ません。つまり、整体にて、横向き(殿部、内転筋)施術をしてあげるしかないでしょう。

 

前者か後者か区別がつきませんので、両方やるように仕向けると、かなり改善するはずですよ。

 

週数制限は第二子目なので、神経質になる必要はないと思いますが、通常なら、5ヶ月以降(安定期)が指標となります。

 

A-9 瞑眩反応(怠さの出るタイプ)

質問9
足もみの後、お試しでうつ伏せのみ整体をした方が、翌日怠くて自分には整体はあわない、と言われました。瞑眩反応だと説明しましたが、もっと納得のいく説明は出来ますか?(東京 Tさん)

 

回答9
怠(だる)さが出たということですね。
これは過剰刺激による揉み返しではありません。
純然たる瞑眩(メンケン)反応です。

 

こういう場面は困りますよね。間違いなくメンケン反応によるものをクライアントにどう説明するか?
ましてや、このクライアントさんのように「自分には整体はあわない」と早合点するケースは変に説明すると、言い訳じみて嫌ですし。

 

ですが、ウソやハッタリではないので、毅然として述べたら良いと思いますよ。

 

メンケン反応というのは、自律神経的にいうと一過性の強い副交感反射なのです。その体質ベースは交感神経緊張型で、その偏りが常態化しているときに、反動として起きやすいものです。

 

ある生徒から、仕事でお世話になっている助産師さんの施術を行ったところ、翌日、起き上がれないくらいの怠さ(メンケン)が出て、もう施術は遠慮する、と言われたと・・・どうしたら良いか?という質問を受けたことがあります。
話を聞いてみると、その助産師さん、自然分娩専門の助産院の責任者。一年365日休みなし、睡眠も不定期で、慢性交感緊張型の典型的な人でした。
こういう生活を送っていれば、いつか身体は破綻します。
そういうところに施術を行うと、破綻を防ぐために一過性の強い副交感反射が起きて、一時的には活動不能のような状態にまでなってしまうのは道理です。
何故なら、施術というのは身体の破綻を防ぎ、治癒を促すように設計されているのですから。

 

さて、これをどう説明するか?
実は私自身、こうすれば絶対に分かってくれる!という回答を持っているわけではありません。
正直言って、未だにそういう反応が出て治療を中断してしまうクライアントに出会うのです。

 

しかし、前述のようにウソやハッタリで言い逃れしているわけでは断じてないので、堂々と悪びれることなく「メンケン反応とは、身体を破綻から守るサインみたいなものですよ、すこしの間、我慢してくれれば必ずそういう現象から脱して、正常化します」と述べます。

 

それでも忌避される方は仕方ありません。ご縁がなかったと、或いは自分の不徳の致すところだと反省して、割り切ります。

伝える努力はしますが、深追いする必要はないと思うのです。

 

A-8 施術の痛み(後頭骨の際)

質問8
後頭骨際を押すと痛がる方が多く、残痛があったと言われました。それ程強く押したつもりは無かったのですが、強すぎるのでしょうか?(東京 Tさん、St1修了段階)

 

回答8
う~ん・・・多いですか、そういう方・・・・
少なくとも私の経験でそういう訴え方をした人は・・・記憶にありませんね。講習で行った位の力加減では、そういうことはまず起きないと思っておったのですが・・・・

 

力加減に問題がない、かつ入る角度にも問題がない、ということであれば、極めてレアケースとして、過敏症の方が重なってしまったという巡り合わせなんでしょうか。

 

理論的にはあり得るわけですから、その対処法を考えてみたいと思います。

 

さて、ここでいう「痛い」というのは心地よい痛みのレベル超えていると考えて良いわけですね。問題の後頭骨の際は、疲れが溜まりやすいことは確かです。さらに単に緊張があるだけではなく、筋肉組織が傷ついていることもあるかも知れません。そういう人には通常の圧でも刺激が強過ぎた可能性もあるでしょう。ましてや残痛があったという例は、刺激過多と考えてよいと思います。

 

そうなると、対処法は限られてきます。
刺激量を減らす、つまり減圧にて施術する・・・と。

 

しかし物理的に減圧するというよりも、入り方を意識的にゆっくりすることによって、同じ圧力でもクライアントの身体の負担を激減させることができます。慣れてきますと、このことを上手く利用して、無意識に過剰刺激にならぬようにコントロールするようになりますよ。


懸念するのは痛がられたという経験がトラウマとなって、通常人に対しても充分な圧をかけられなくなるということです。

ここから脱するのに歳月を要し、随分時間を無駄にする場合もありますので。

 

当流儀での押圧法は出来るうる限り過剰刺激を避けていることが特長ですので、安心してやって欲しいとは思うのですが・・・・実際にご質問のような症例もあるわけですから、微妙な手加減も検討する必要があるのでしょう。

 

まずは「入り方をゆっくり」ということで対処してみて、それでも尚、痛みを訴える場合は、「減圧施術」という順番で行なってみては如何でしょう。

 

 

A-7 St1段階における五十肩の処理

質問7

五十肩など痛くて動かせないところは省いても良いのでしょうか?また、そこを改善する施術ポイントはあるのでしょうか?(北海道 Iさん、ステップ1修了段階)

 

回答7

五十肩も軽症で治しやすいもの、難治化して手こずるもの、その中間など多様な病勢ががあります。

また腰痛と同じように、原因となっている筋が人によって違う場合が多いのです。

 

ですから、ステップ2において「五十肩」という項目でしっかり時間をとって勉強することになるわけです。

 

現在の段階(スッテプ1修了)では、技術も知識も不足しておりますので避けたほうが無難でしょう。

 

余談ですが、五十肩を治療院で悪化させる方って結構いるんですよ。

五十肩の治し方を知らない整体師がほとんどだというお寒い現状なのです。

治せないならまだしも、悪化させるに至っては、資質の問題というよりも、もう一度人生を見直したほうが良いんじゃないか!とさえ思いたくなりますね。

 

五十肩はある意味、整体師の試金石とも言えるほど重要な病態です。

(整体師の格が決まる)

 

A-6 全身施術と部分施術

質問6

部分だけの短時間施術は全身をするのと効果が変わりますか?90分も時間のない人に、例えば、肩こり、腰痛などの症状があって、部分とすると、どの向きのどの場所を選んで押したらいいでしょうか?(北海道 Iさん、ステップ1修了段階)

 

回答6

はい、これもステップ2、3で解決する問題です。

肩こりくらいでしたら、基本手技の上半身(首、肩)の施術になりますね。どうしても時間がない場合は基本手技のうちの下半身施術を省略する・・・と。そういう選択にならざるを得ません。

 

しかし、うつ伏せと横向きの両方はやったほうが良いと思いますよ。

 

さて、腰痛なのですが、これは原因がたくさんあって、基本手技の段階では知識が充分ではありません。ステップ3において、まず原因となる筋群を識別し、そしてチョイスしていくということになります。

 

ステップ1の段階ではそういう知識等の会得がなされておりませんので、出来る限り全身的なフル施術をやってください、ということになるわけです。

 

回答が前後しましたが、局所的な痛みであったとしても、ステップ2,3での知識が会得された後でも、やはり部分施術よりも全身施術のほうが効果はあります。

 

全身施術の中で対症施術を強調、重点にしていく施術がベストと言えましょう。

 

A-5 施術の頻度

質問5

どのくらいの頻度で受けたら良いのですか?とよく聞かれます。個人で皆違うと思いますが、どう答えると良いですか?

(北海道 Iさん、St1修了段階)

 

回答5

足揉みに準じて考えて良いと思います。

改善系のクライアントでしたら、週二回を二回+週一回を4回。

計8回。

単純に週一回を8週ということでも良いでしょう。

 

確かに、個人差というのがあるので、個別の場合もありますが、一応の目安としてお考え頂ければと思います。

 

 

クライアントさんには大別すると2種類の人がいます。

一つは改善系

一つはメンテナンス系 

 

先の例は改善系でのパターンを述べました。

メンテナンス系はクライアントの財布次第というのもありますが、如何に信用を得るかという要素も重要です。

整体師が信用を得るもっとも確かな方法はまさに改善感を出してあげるということですから、まずは改善感が出るまで通院させるというのが最優先ということになるでしょう。

 

その改善感は、かなり難しい症例でも定期的な8回通院によって与えることが可能です。

(治るという意味ではなくあくまで改善感ということですので誤解されませんように)

 

A-4 骨格矯正

質問4

骨格の歪みを治すために施術することはありますか?あるとすれば間隔、回数の目安はありますか?

(北海道・IさんーSt1修了段階)

 

回答4

まず、骨格の歪みについてに見解をここで述べなければなりませんね。これは非常に重要なことなので「整体概論」においても詳述しようと思います。有益な質問をして頂いて有難うございます。

 

まず、骨自体の病気で歪んでいるものは整体適応症ではありません。

(脊椎カリエスとか)

さらに、人口の0.1%の割合で発症する真性の側弯症も治すことは出来ません。側弯症は文字通り背骨が側弯しているため、骨盤の左右の高さが違ってきます。これは取りも直さず、見かけ上の脚長差が生まれるということになります。

見かけ上の脚長差は直立したときに是正されますが、その分、今度は左右の肩の高さが違って見えたりもします。

 

よく施術前でそのような写真、施術後でそれが矯正された写真を呈示し、PRしている業者を見かけますが、側弯症でなっている場合はその矯正は極めて一時的なもので、すぐに元に戻るでしょう。意味のないことだと言わざるを得ないです。

 

しかし、真性の側弯症ばかりが、見かけ上の脚長差を生み出すとは限りません。

例えば、骨盤の上縁と最下位肋骨をつなぐ「腰方形筋」という筋肉が左右に一つずつあります。、もしここで左側の腰方形筋に緊張短縮が起きた場合はどうでしょう?

そう、左の筋肉だけが縮みますので、左側の骨盤肋骨間が狭まり、骨盤の高さの違いが生まれるとともに見かけ上の脚長差が出現することになるわけです。

 

整体師達は骨盤が歪んでいるという表現を好んで使いますが、その実体は骨盤という骨ではなく、大部分がそれを支えている筋肉の問題だということを忘れてはいけません。

 

そして、その歪みというのは、理由があってそうなっていることが多いのです。これを代償性の歪み(代償性パターン)と言います。

 

ある部位の機能が落ちているのをカバーするために、あえてその筋を歪ませ、対応していると・・・身体にはそういう機能が備わっているのです。

 

ですから、歪んでいる部位にだけ目を向け、それを必死になって矯正しようとするのは極めて浅はかな行為です。歪んでいる部分だけを弄ると、かえって全体のバランスが崩れ、調子が悪くなることさえあるのです。

 

それらの理由により私はあまり物理的な歪みには言及しません。

それが治るものであれば、機能が正常化することによって、なんら矯正を意識しなくとも、自然に矯正されていくことは数多く経験しておりますし、すでに代償性パターンがその人の第二の本性にまで適応しているのであれば生涯それで行くことになるでしょう。

歪みもまた友なり、の場合もあるのです。

 

このように骨格矯正という考え方は理解しやすいので(多分に短絡的ではありますが)、一般に流布しておりますが、効果は限定的で、かつリスクがあることさえあります。

 

多くの整体師たちは口の割りには成果を出せないでいますが、おそらくそれが原因の一つでしょうね。

 

骨格矯正にこだわる限り、名人、達人の道は遠のきます。

 

※お産直後の女性は開いた恥骨が元に戻りきっていませんので、その時に無理をすると、恥骨不整合というホントの骨盤の歪みを生み出します。昔の人はそれに気付いていて、ふくらはぎにある「承山」というツボにお灸を据え、恥骨のズレを治していました(!)整体においても殿部筋と大腿部裏、内転筋を入念に持続圧することによって矯正されることを確認しております。

 

 

A-3 症状改善の重点ポイント(St1段階)

質問3

症状を改善するために重点的に押すポイントはどのように見極めますか?(北海道 Iさん、St1修了段階)

 

回答3

はい、それが名人、達人への道ですよね。つまり、ステップ2・3で学ぶこととなります。

 

A-2 硬結、圧痛の処理方法

質問2

硬くなって痛いところは、それが緩むまで重点的に押したほうが良いのですか?

(北海道 Iさん St1修了段階)

 

回答2

結論から言うと「その通りです」という答えになるのですが、その施術の仕方には注意が必要です。

 

ある部位に強い硬結を感じたからと言って、その部位ばかりを執拗に長時間、施術し続けると、緩む前に傷めてしまう可能性があるのです。

 

では、どうすれば良いのか?

 

例え緩みきったという手応えを得られなくとも、ある程度で切り上げて、他の部位を施術してしてからまた戻ってくるということを繰り返します。

こうすることによって、組織を傷めないのと同時に結果として早く緩んでくるのです。

 

「足」を揉んでも「肩」が緩むことがあるじゃないですか。

身体というのは経絡的にも筋膜的にも一体となっていて、全ての部位が全ての部位と繋がっています。ですから、他の部位の施術であっても、その硬結が緩むことがあるわけです。

 

戻ってその硬結に触れてみると「あれ?少し緩んでる!」ということは今後かなりの確率で経験すると思いますよ。

 

ステップ1(基本手技)では首・肩の施術~下半身をやって再び首・肩への施術と戻ってくるような順番になってますでしょ。

その時、つまり二回目の首肩の感触を注意して確かめてみてください。

百パーセントではありませんが、あきらかに緩んでいることが多いはずです。

 

というわけで、一つの箇所を何度アプローチしても構いませんが、一箇所を長時間、執拗に施術し続けてはいけない、という原則があるということは覚えておいて頂きたいと思います。

 

A-1 コリ、トリガーポイントの部位

質問1

押して痛いところはコリそのものですか?

それがトリガーポイントということになるのでしょうか?

(北海道 Iさん、St1修了段階)

 

回答1

厳密に言いますと、圧痛=コリ、トリガーポイント(以後TPと略します)とは限りません。例えば、打ち身や捻挫等の場合も押すと痛いじゃないですか。

これは打ち身、捻挫のため組織が傷んだせいで痛いわけです。

(炎症が起きている状態です)

この一事をもってコリやTP以外の理由で圧痛があるということが理解出来るではないでしょうか。

 

しかしながら、明らかに炎症がある、或いは打撲している、或いは筋肉の使い過ぎで筋肉痛があるというのはクライアントとのコミュニケーションが普通になされていれば分かることですよね。

 

ということで、整体実務上は圧痛=コリ、TPの痛みと考えて構いません。そして、コリ、TPであるならば、痛みの軽減はそのまま改善と捉えて間違いはないのです。

 

※因みに打ち身捻挫等のケガであっても、治った後、傷ついた組織が瘢痕化して、それがTPになります。ムチ打ちなどが典型的な例なのですが、ケガによる痛みからTPによる関連痛に変化しますので、注意が必要です。炎症が治まった時点で整体施術ができればベストでしょう